11月11日は『Remembrance Day』です。
Remembrance Dayはカナダで戦争や任務で亡くなった人たち、そして今も国のために働く人たちを追悼・感謝する日です。

赤い「ポピー」は何?なぜつけるの?

10月末、11月の頭になると赤いポピー(ひなげし)を胸につける人々を街中でよく見かけます。
この赤いポピーは戦争や任務で犠牲になった人たちを忘れない追悼のシンボルです。
第一次世界大戦のフランスやベルギーの戦地に赤いポピーが咲き、その光景をカナダ人医師ジョン・マクレーが詩『In Flanders Fields』で象徴的に語ったことから、カナダでは追悼の花=ポピーという考え方が広がりました。

赤いポピーを象徴とした『In Flanders Fields』の詩

In Flanders fields the poppies blow
Between the crosses, row on row,
That mark our place; and in the sky
The larks, still bravely singing, fly
Scarce heard amid the guns below.

We are the Dead. Short days ago
We lived, felt dawn, saw sunset glow,
Loved and were loved, and now we lie
In Flanders fields.

Take up our quarrel with the foe:
To you from failing hands we throw
The torch; be yours to hold it high.
If ye break faith with us who die
We shall not sleep, though poppies grow
In Flanders fields.

(As published in Punch Magazine, December 8, 1915)

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フランダースの野に

(ジョン・マクレー作「In Flanders Fields」より)

フランダースの野に ひなげしが揺れる
十字架の列と列の あいだを渡り
そこが わたしたちの場所だと印しながら。
空には雲雀が いまも勇ましく歌い飛ぶが
下で鳴りやまぬ砲声に その歌はかすれてゆく。

わたしたちは 死者。ついこのあいだまで
夜明けを生き 夕映えを見つめ
愛し 愛され ―― いまはここに横たわる、
フランダースの野に。

敵との争いを 引き継いでくれ。
力尽きたこの手から たいまつを君へ投げ渡す、
その灯を 高く掲げてくれ。
もし わたしたちに誓った信義を破るなら
ひなげしがどれほど咲こうとも わたしたちは眠れない、
フランダースの野で。

(原詩:John McCrae, 1915 / Public Domain)

いつ・どこに・どうやって身につける?

  • 着ける時期:10月最終金曜〜11月11日が目安

  • 着ける場所:左胸(心臓の上)に、敬意をもって。

  • どこでもらえる?:街のRoyal Canadian Legion(退役軍人会)の募金ボックスや提携店で寄付をして受け取るのが一般的です

レギオンのラペル・ポピーは「追悼の神聖なシンボル」とされています。中心に別のピンを刺すなど、形を損ねる着け方は推奨されていません。

 街中で見かける“Lest we forget”は何を表す言葉? 

“Lest we forget” は「(私たちが)忘れないために」という追悼のことばです。
戦争や任務で亡くなった方々を忘れずに記憶し続ける決意を短く力強く表しています。
Remembrance Day の式典や、慰霊碑(セノタフ)、学校の掲示などでよく目にします。

どんな場面で使う?

  • 式典のスピーチや黙とうの直前・直後の一言として

  • SNSや学校の掲示物で、追悼のメッセージに添える言葉として

  • ポピーの写真や慰霊碑の画像とともに、短いキャプションで

例:Lest we forget.(この一行だけでも、十分に敬意が伝わります)

由来

この表現は、イギリスの作家ラドヤード・キップリングの詩『Recessional』(1897)で使われた英語表現に由来します。
のちに英連邦各国で追悼の合言葉として広く定着し、カナダでもRemembrance Dayに公式プログラムや慰霊碑などで使われています。


お休みになるの?

全国一律のルールではありません。
カナダ全体で11月11日は大切な日ですが、法定休日(Statutory Holiday)かどうかは州・準州で違います。多くの州・準州と連邦雇用では休日ですが、オンタリオ・ケベック・マニトバは一般的に法定休日扱いではありません。最新の扱いは学校に案内で確認してください。

当日のマナー(高校生向けミニガイド)

  • ポピーは左胸に。屋内外を問わず、丁寧に扱う。
  • 午前11時は静かに。黙とうの2分間はスマホも置く。
  • 言葉づかいに気をつける。からかったり、コスプレ感覚で軍服を真似たりしない。
  • 式典に参加する時は:到着は早め、帽子は脱ぐ、写真は控えめに。

当日の式典情報(バンクーバー近辺)

バンクーバー近辺では、11月11日(Remembrance Day)に市公認のセレモニーが複数行われます。
主要会場と開始時刻は下記のとおりです。

  • バンクーバー:Victory Square(ダウンタウン)
    10:00開始(式典プログラム公表)。11:00に黙とう・礼砲・フライパス予定。Vancouver

  • UBC:War Memorial Gym
    10:45開始。学生・教職員・一般が参加可。ceremonies.ubc.ca+1

  • スタンレーパーク:Japanese Canadian War Memorial(日本人戦没者慰霊碑)
    10:30開始。Nikkei National Museum & Cultural Centre+1

  • リッチモンド:City Hall東側セノタフ
    10:40開始、11:00に2分間黙とう、献花。richmond.ca

  • ウェストバンクーバー:Memorial Park(図書館前)
    10:45パレード開始、10:50式典開始。westvancouver.ca

  • サレー市:市内各所(案内ページに一覧)
    11月11日、市内複数会場で実施(個別時刻は会場ごと)。surrey.ca

  • バンクーバー市の公式案内(Victory Squareの年次式典・プログラム掲載)
    2025年のプログラムPDFと概要が公開。Vancouver

 



Remembrance Day は、戦争や任務で亡くなった方々を追悼し、平和と命の尊さを考える日です。

その日を迎えるにあたり、次の点を頭に入れておいてください。

  • 11:00の2分間黙とうに静粛に参加すること

  • ポピーの着用は任意であり、着用・不着用いずれの選択も互いに尊重すること

  • 式典・校内活動では写真撮影や私語を控え、礼節を守ること


カナダは、さまざまな歴史的背景をもつ人々が共に暮らす社会です。
Remembrance Dayは、その一人ひとりに固有の思いがある日でもあります。
多文化・多国籍の人々が共存するこの地でこの日を迎え、追悼の意義を共有し、
多様な価値観を尊重する姿勢を示すことは、留学中の皆さんにとって貴重な学びとなるはずです。
静かな敬意と落ち着いたふるまいをもって、意義ある一日をお過ごしください。